資生堂 女性研究者サイエンスグラント 第16 回受賞者決定

資生堂は、7月6日(木)に「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」の第16回受賞者10名を選出し、「サスティナブルな社会の実現を目指した女性研究者同士のネットワーク構築」をテーマにした授賞式を、資生堂グローバルイノベーションセンターにて開催します。

資生堂 女性研究者サイエンスグラント

この取り組みは「次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援することは科学技術の発展につながる」という考えのもと、自然科学分野の幅広い研究テーマ(理工科学系・生命科学系全般)を対象に、2007 年の設立以来、毎年最大10名の女性研究者へ研究助成を実施するものになります。

受賞者に贈られる各100 万円の助成金の他、出産・育児等のライフイベントと研究活動を両立するための環境整備(学会参加の際の託児費用や研究補助員の雇用等)に活用したり、グラントを通じた受賞者同士の交流や受賞者の研究活動に活かしたり、キャリア形成のサポートにもなっています。

資生堂の企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」

資生堂は「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を企業使命に掲げ、多様なバックグラウンドを持つ人々が持てる力を発揮し、イノベーションを生み続ける組織文化づくりのため、ダイバーシティ&インクルージョン※1を重要な経営戦略として位置付けています。

日本の STEM※2領域におけるジェンダー・ギャップ解消への課題認識が高まる中、資生堂は女性活躍推進を積極的に推進する企業として、女性研究者の支援を通じた科学技術の発展による、サスティナブルな社会の実現に貢献していきます。

※1 性別、年齢、国籍などさまざまな属性を持つ人々を等しく認めて、それぞれの個性、能力に応じて適材適所で活躍できる場を与えよう、という考え方

※2 STEMとはS:Science、T:Technology、E: Engineering、M: Mathematicsの頭文字を取った言葉で、科学・技術・工学・数学の教育分野を総称した言葉。これら4つの学問の教育に力を注ぎ、IT社会とグローバル社会に適応した、国際競争力を持った人材を多く生み出そうとする、21世紀型の教育システムを指す。

女性ゆえに困っていること

資生堂は女性研究者の現状について、過去の受賞者を対象にアンケート調査を実施した※3

8 割以上の研究者が「女性ゆえに困っていることがある」と回答しました。その理由として最も多く挙げられたのは、

・「家庭と仕事の両立が困難である

・「女性研究者が少なく立場が理解されにくい

・「周囲に相談・情報交換できる人がいない

と続きました(図1)。

図1

上記アンケ―トにより、日本社会に根付く性別役割分担意識※4を背景とした家庭と仕事の両立の困難、孤立しやすい、キャリア形成に不安といった悩みを抱えている女性研究者の実態が浮彫りになりました。

一方、このグラントを受賞して良かったことについては、助成金が得られたことの他に

・「優秀な他の受賞者との交流が図れた

・「次の発想につながった

・「受賞そのものが心の支えになった

・「資生堂の研究員と交流がもてた

・「周囲から認められるようになった

などが挙げられました(図 2)。

図2

これらの結果から、助成金という有形の支援に加え、ネットワーク形成をはじめとする無形の支援もまた、厳しい環境下にある女性研究者には有意義であると考えられます。

※3 調査期間:2022/11/16~30、資生堂 女性研究者サイエンスグラント受賞者のうち回答者数:74 名(送付者数:119 名)
※4 「男性は働くべき、女性は家庭を守るべき」といった、社会的・文化的に男女の役割を分担すること

今後の展望

次世代の指導的役割を担う女性研究者の育成を趣旨とする「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」では、設立からこれまでの受賞者は延べ 149 名にまでのぼり、過去の受賞者からは、教授や研究室を主宰する研究リーダーなどが多く輩出されています。

研究者が発想を膨らませ、研究成果を生み、社会に還元する上で、研究者同士のネットワーク構築が不可欠です。

資生堂は、受賞者を中心とした女性研究者同士のネットワーク構築をサポートし、専門分野や領域を超えた多様な人と知の交流機会をこれからも提供し続けるとしています。