【ロレアル リサーチ&イノベーション】 人体を使わない新たな SPF測定法についてのワークショップを開催

ロレアルグループの研究開発部門であるロレアル リサーチ&イノベーション(以下ロレアル R&I)は6月28日、神奈川県川崎市にある日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンターにて、人体を使わないSPF試験法測定法である「in vitro1 SPF2 試験測定法」の 2025 年 ISO(国際標準化機構)規格発行を目指し、日本の化粧品関連企業の技術者に測定方法の理解を深めるための支援を目的としたワークショップを開催しました。

SPF:紫外線防御効果指数

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人体を使わない新たなSPF測定法

ワークショップで示された測定法は、再現性・信頼性が高い持続可能な方法で、全ての手順が人体による実験を伴わない完全なin vitro※1測定法であるため、人体への安全性を侵害しない倫理的な方法

ISO手続き中のこのような持続可能で、堅牢性・信頼性が高い方法を持つことは、サンスクリーン(日焼け止め)製品に対する世界中の消費者の信頼を高め、紫外線による皮膚障害を防ぐという役割を確実に果たすために必要です。

SPF:紫外線防御効果指数
※1 試験管内で(の)という意味で、元々は細胞や生体組織を使って試験することを意味する。現在では ISO 23675(日焼け止めテストを行う方法) のような機器による測定法なども含む。

In vitro 測定法の必要性

現在、日焼け止めなどの化粧品の紫外線防御効果(SPF2 値※2や PA3 値※3)は、in vivo4 法※4、すなわち、被験者の背中の皮膚に決められた量(2mg/cm2)の製品を塗布し、強度を段階的に増加させたソーラーシミュレーター光を当て、皮膚に生じる紅斑や黒化などの反応が、製品を塗布していない部分と比較してどの程度防げるかを観察することで測定

これらの方法は、生物学的反応の個人差や、紅斑の目視観察などにおける評価者に影響されることがありますが、ロレアルでは、厳選された CRO (Contract Research Organization – 医薬品開発業務受託機関)パートナーの監査とリングテスト を通じ、全ての試験において製品の紫外線防御効果について品質管理を行っています

※2「SPF」は紅斑や炎症、黒化などのトラブルにつながる UVB=紫外線 B 波の防御効果指数。
日焼け止めなどの化粧品の紫外線防御性能を表す。

※3 「PA」はシミ、シワ、タルミなど皮膚の光老化の徴候につながる UVA=紫外線 A 波の防御効果指数。
日焼け止めなどの化粧品の紫外線防御効果を表す。

※4 in vivo」は生体内で(の)という意味で、ヒトや動物の生きている体を使って試験する方法を示す。

In vitro 測定法とその特徴

今回対象とした in vitro 測定法は、「in vitro SPF 二重プレート法 (ISO/CD 23675) 」 で、2025 年の発行に向けてISO 技術委員会 217 -作業部会 7 で検討中のもの。

ロレアルは、Cosmetics Europe の Sun Product Methods グループで主導的な役割を果たし、他の業界メンバーと共にこの方法を共同開発・検証し、最近では 10 カ国 29 団体から成るコンソーシアム(ALT-SPF パートナーシップ 6)で他の 4 団体と共にこの方法を評価しています。

この方法は、ロボットと精密測定機器を使用することにより、実用的で、簡便、再現性があり、信頼性が高くなるよう設計されています。

その結果、ばらつきが少なく in vivo の SPF 測定とよく相関する有望な方法と考えられています 。

また、UV フィルターの吸収や散乱および光安定性、さらに日焼け止め製品が皮膚のような粗い基材と相互作用して保護膜を形成する能力も考慮されています。

これらは実際の条件下で日焼け止めの保護性能を予測するために非常に重要な事項であり、ヒトを被験対象としない試験は、安全性と倫理の面で大きな利点です。

ワークショップを開催

実際にワークショップを開き、ロレアル R&I の研究者がこれまでに決定されたプロトコールを説明しました。それに従って提供されたサンプルを使用した一連の手順を実演

参加者からは、サンプル塗布に使用するロボットの動作メカニズムや、ソーラーシミュレーターのスペクトルなどについて質問があがりました。

ロレアル スキンケアセンター シュヴィイー(フランス)の光防御専門センターの研究者とのオンラインでの質疑応答と参加者同士の活発な議論もありました。

参加者の声

・実際に手技を見ることができ、具体的に in vitro SPF 測定法が理解できた。
・質疑応答セッションで不確かだったところが明らかになった。

このワークショップは、品質と安全性を向上させ、消費者の健康と美により貢献する未来の日焼け止め製品開発への重要な一歩と
なったとのことです。

ロレアルは、80 年以上にわたって紫外線防御に取り組んできました。研究開発部門(ロレアル リサーチ&イノベーション)では、ヒト皮膚再構築モデルを用いた細胞への太陽光の影響の研究など、4,000 人を超える研究員が日々進めています。

このin vitro SPF 測定法は、紫外線防御におけるロレアルの長い物語のさらなる一歩となるに違いありません。

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