
化粧品や雑貨などの成分表で見かける「ヒノキチオール」。
名前は聞いたことがあるけれど、「一体どんな効果が期待できるの?」「お肌への刺激はない?」と疑問に思っていませんか。
もしかしたら、その名前からヒノキ花粉症との関係を心配している方もいるかもしれません。
この記事では、そんなヒノキチオールの正体と、スキンケアや生活雑貨における驚きの働き、そして安全性について、専門的な視点から徹底的に解説します。
記事を最後まで読めば、ヒノキチオールが持つ抗菌・抗炎症作用から美白・エイジングケア※効果までを理解し、ご自身の肌悩みに合った製品を安心して選べるようになります。
この機会に、希少な天然成分の知識を深め、毎日のお守りスキンケアに役立ててみませんか。
※年齢に応じたお手入れのこと
ヒノキチオールとは?1936年に発見された天然成分の基礎知識

ヒノキチオールは、1936年に台湾ヒノキの精油成分の中から発見された、非常に希少な天然由来成分です。
優れた薬効を持つことから、化粧品や医薬品など幅広い分野で活用されており、その発見は化学の歴史における大きな一歩でもありました。
当時、台北帝国大学の教授であった野副鐵男博士によって発見され、自然界では珍しい「七員環芳香族(トロポロン)構造」という分子構造を持つことが明らかに。
このユニークな構造の発見は、世界の化学史に残る偉業として高く評価されています。
「ヒノキ」という名前から日本のヒノキに多く含まれていると誤解されがちですが、実際にはほとんど含まれていません。
現在、商業的にヒノキチオールを抽出できる原料のほとんどは「青森ヒバ」で、その精油であるヒバ油から約1%しか抽出できない、非常に価値の高い成分なのです。
ヒノキチオールのスキンケアに特化した5つの薬効

強力な抗菌作用からエイジングケア※に役立つ作用まで、様々な肌悩みにアプローチできるのが魅力です。
ここでは、それぞれの薬効について詳しく見ていきましょう。
※年齢に応じたお手入れのこと
1. 幅広い細菌・真菌にアプローチする強力な抗菌・殺菌作用
ヒノキチオールは、非常に幅広い種類の細菌や真菌に対し、ごく低い濃度でも効果が期待できる強力な抗菌・殺菌作用を持っています。
ニキビの原因となるアクネ菌や、アトピー性皮膚炎の悪化因子とされる黄色ブドウ球菌など、多くの病原菌の増殖を抑制する働きが確認されています。
特に注目すべきは、抗生物質が効きにくいメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効性が示されている点です。
その歴史は古く、1940年代には結核菌への殺菌作用も発見されていました。
さらに、長期間使用しても菌が抵抗力を持つ「薬剤耐性」を獲得しにくいという特性も、大きな利点と言えます。
お肌を清潔に保ち、肌トラブルを防ぐ上で重要な役割を果たしてくれます。
2. 肌トラブルを鎮める優れた抗炎症作用
ヒノキチオールには、お肌の赤みやほてりといった炎症を鎮める、優れた抗炎症作用が期待できます。
ニキビや吹き出物、日焼け後の肌荒れなど、さまざまな肌トラブルの悪化を防ぎ、健やかな状態へと導くサポートをしてくれます。
この作用は、炎症を引き起こす体内物質(炎症性サイトカイン)の産生を抑制することによってもたらされます。
具体的には、TNF-αといった炎症に関わる情報伝達物質の働きを抑えることが研究で示唆されています。
アトピー性皮膚炎の患者を対象とした臨床試験では、ヒノキチオールを配合したクリームの使用により、皮疹やかゆみが改善したという報告もあります。
この消炎作用と前述の抗菌作用が合わさることで、ニキビや肌荒れに対して多角的にアプローチすることが可能です。
3. 美肌を促進する細胞賦活・コラーゲン産生作用
ヒノキチオールは、お肌の細胞そのものを元気にする「細胞賦活作用」を持っていると言われています。
肌細胞のエネルギー源となるATPの産生を高めることで、新陳代謝を活発にし、お肌の生まれ変わりであるターンオーバーを正常なサイクルに整える働きが期待されています。
ターンオーバーが整うと、古くなった角質がスムーズに剥がれ落ち、くすみのない明るい肌印象へとつながります。
お肌の生まれ変わりをサポートしてくれる、というイメージですね。
さらに、ヒノキチオールにはお肌のハリや弾力を支えるコラーゲンの産生を促進する作用も確認されています。
年齢とともに気になるシワやたるみといった悩みにアプローチできるため、エイジングケア※成分としても非常に価値が高いと言えるでしょう。
※年齢に応じたお手入れのこと
4. シミ・くすみを防ぐメラニン生成抑制作用
ヒノキチオールには、シミやそばかす、くすみの原因となるメラニンの生成を抑え、美白効果も期待されています。
メラニンは、紫外線などの刺激からお肌を守るために作られますが、過剰に生成されると色素沈着として肌に残ってしまいます。
ヒノキチオールは、メラニンを作り出す過程で働く「チロシナーゼ」という酵素の活性を阻害する作用を持っています。
このチロシナーゼの働きをブロックすることで、メラニンの過剰な生成にブレーキをかけるのです。
このメラニン生成抑制作用により、日焼けによるシミ・そばかすを防ぎ、透明感のあるお肌を維持する効果が見込めます。
そのため、美白化粧品やエイジングケア※化粧品に、有効成分の一つとして配合されています。
※年齢に応じたお手入れのこと
5. 頭皮環境を整えるフケ・かゆみ抑制効果
ヒノキチオールの抗菌作用は、お顔のスキンケアだけでなく、頭皮環境の改善にも役立ちます。
フケやかゆみの原因の一つに、頭皮の常在菌である「マラセチア菌」の異常増殖がありますが、ヒノキチオールはこの菌の生育を効果的に阻害すると言われています。
頭皮の菌バランスを整え、フケやかゆみを抑えることで、健やかな髪が育つための土台作りをサポートします。
この効果から、薬用のシャンプーやコンディショナー、頭皮用ローションなどに配合された製品もあります。
一部の研究では毛根にある毛母細胞を活性化させる働きも示唆されており、育毛効果も期待されています。
血行促進作用のある酢酸トコフェロール(ビタミンE誘導体)などと組み合わせて配合されることもあり、多角的な頭皮ケアを実現します。
ヒノキチオールの日常生活における2つの効能

ウイルスへの抵抗力を高める働きや、暮らしの空間を清潔に保つ効果など、日常生活の様々な場面でその力を発揮します。
1. ウイルスから守る抗ウイルス作用
ヒノキチオールには、特定のウイルスに対する抗ウイルス作用が報告されており、感染症対策への応用が期待されています。
この作用の鍵となるのが、「亜鉛イオノフォア」としての働きです。
亜鉛イオノフォアとは、細胞膜を通過しにくい亜鉛イオンを細胞内へと効率的に運び込む物質のこと。
細胞内に取り込まれた亜鉛イオンは、ウイルスの遺伝情報がコピーされるのを妨げることで、その増殖を抑制する力を持っています。
ヒノキチオールはこの亜鉛の運び役として機能し、インフルエンザウイルスやコロナウイルスといったRNAウイルスの増殖を阻害する効果が研究で示されています。
風邪の原因となるライノウイルスなどに対しても効果を発揮することが分かっています。
2. 防虫・防カビ効果
ヒノキチオールは、非常に低い濃度でも優れた防虫・防カビ効果を発揮すると言われています。
住宅の建材を腐らせる腐朽菌や、アレルギーの原因となるダニ、食品を劣化させるカビなど、様々な菌や害虫の増殖を抑える力を持っています。
世界遺産の中尊寺金色堂をはじめ、多くの歴史的建造物に「青森ヒバ」が使われているのは、このヒノキチオールの強力な抗菌・防虫効果によるもの。
青森ヒバから抽出されるヒノキチオールが、木材が腐ったり、シロアリなどの虫に食われたりするのを長期間防いできました。
この特性は私たちの日常生活にも応用されており、カビが生えにくく衛生的なまな板や浴室用品、天然の防虫・消臭スプレー、芳香剤など、さまざまな製品に活用されています。
ヒノキチオールが含まれる木材と抽出方法

その採集方法も、価値の高さを物語っています。
日本のヒノキにはほとんど含まれておらず、主に「青森ヒバ(別名:ヒノキアスナロ)」やタイワンヒノキ、ネズコといった特定の樹種に含有されています。
商業的な抽出は、そのほとんどが青森ヒバから行われています。
抽出プロセスは、まず青森ヒバのおが屑を大量に集め、それを水蒸気蒸留することで「ヒバ油」という精油を採取します。
ヒノキチオールは、このヒバ油の中にわずか1%程度しか含まれていないため、さらに分離・精製という工程を経てようやく取り出すことができるのです。
その希少性は、2トン車一台分のおが屑から、わずか200gほどしか採れないことからもわかります。
ヒノキチオール配合製品の種類と選び方

ヒノキチオールは、その多様な薬効から、私たちの暮らしに関わる様々な製品に応用されています。
スキンケア製品からオーラルケア、食品に至るまで、その活躍の場は多岐にわたります。
ここでは、代表的な製品の種類とその選び方のポイントを解説します。
化粧品・スキンケア製品
化粧水や美容液、保湿クリーム、フェイスマスクなど、日々のケアに取り入れやすい様々なアイテムに配合されています。
強力な抗菌力を持つため、防腐剤としてパラベンの使用を避けたい「パラベンフリー処方」の製品開発を可能にします。
また、炎症を鎮める作用があることから、ニキビや肌荒れに悩む肌や、刺激に弱い敏感肌向けの製品にも適しています。
なお、肌に塗ったままにするリーブオン製品への配合は、安全性と効果のバランスを考慮し、0.1%以下という濃度規制が設けられています。
| 企業名 | 企業の解説 | 代表的な商品例 |
|---|---|---|
| ヒノキ新薬株式会社 | 創業以来、長年にわたりヒノキチオールの研究を続け、その効果を製品開発に活かしてきたパイオニア的企業です。 | ヒノキ肌粧品 APシリーズ |
| 株式会社ナールス | 大学の研究成果を基にしたエイジングケア化粧品を開発。科学的根拠に基づいた製品作りに定評があります。 | ナールス ユニバ |
| 株式会社ハウスオブローゼ | 自然由来の成分にこだわり、肌にやさしいスキンケア製品を数多く展開している人気の化粧品ブランドです。 | アロフローラ アクネケア ローション |
歯磨き粉・オーラルケア製品
ヒノキチオールの抗菌スペクトルの広さは、口腔内のトラブル予防にも非常に有効です。
虫歯の主な原因であるミュータンス菌や、歯周病を引き起こす様々な細菌の増殖を抑制する効果が確認されています。
口内細菌のコントロールによって虫歯や歯周病、さらには口臭を予防する目的で、多くの歯磨き粉やデンタルリンス(マウスウォッシュ)、口腔スプレーに配合されています。
天然由来成分であるため、毎日使うオーラルケア製品としても安心して使用できる点が魅力です。
実際に、大手製薬会社を含む多くのメーカーが、ヒノキチオールを配合した製品を開発・販売しています。
育毛剤・頭皮ケア製品
ヒノキチオールは、健やかな頭皮環境を維持し、育毛をサポートする成分としても注目されています。
その抗菌作用が、フケやかゆみの原因となる頭皮の常在菌のバランスを整えるのに役立ちます。
頭皮の炎症や過剰な皮脂分泌を抑え、毛根にある毛母細胞の働きを活性化させることで、抜け毛を防ぎ、発毛を促進する効果が期待されています。
この作用から、薬用育毛剤やスカルプケアシャンプーに採用されています。
性別を問わず使用できる安全性も特徴で、ホルモンバランスに影響を与えることなく、男性用・女性用両方の頭皮ケア製品に広く活用されています。
食品添加物としての利用
ヒノキチオールの優れた抗菌性は、食品の鮮度を保つための保存料としても認められています。
化学合成された保存料に抵抗がある消費者も安心して手に取れる、天然由来の防腐剤として活躍しています。
日本では食品添加物(既存添加物)として認可されており、お弁当やおにぎり、和菓子などの日持ち向上剤として使用されることがあります。
ごく少量で幅広い種類の細菌やカビの増殖を抑えることができるため、食品の風味を損なうことなく、安全に鮮度を保つのに役立ちます。
その安全性は食品安全委員会による評価も受けており、信頼性の高い天然由来の保存料として利用が広がっています。
ヒノキチオール研究の歴史と企業の取り組み
ヒノキチオールの発見から現在に至るまで、そのユニークな化学構造と多様な生理活性は、多くの研究者の探求心を刺激し続けてきました。
その研究は、化学の基礎研究から医学、化粧品、食品など、幅広い応用分野へと広がっています。
1936年の野副鐵男博士による発見と構造決定は、化学史上の金字塔でした。
発見当初からその強い抗菌力は注目され、肺結核の治療に応用するための研究も行われました。
戦後、工業的な抽出法が確立されると応用研究はさらに加速。
1956年には、抽出技術を開発した阿部武夫氏によってヒノキ新薬が設立され、以来、同社はヒノキチオール研究の中核を担い、その薬効を化粧品に応用する研究を長年にわたり続けています。
ヒノキチオールが入ってるスキンケア3選

ヒノキチオールの優れた効果を実感できる、おすすめのスキンケア製品を3つご紹介します。
それぞれの製品が、どのような肌悩みや目的に合わせてヒノキチオールを活かしているのか、特徴を見ていきましょう。
1. ヒノキ肌粧品 APシリーズ

ヒノキ新薬が展開する「APシリーズ」は、“All-Purpose, All-Person”(すべての目的、すべての人へ)をコンセプトに、年齢や性別を問わず使えるスキンケアラインです。
有効成分として配合されたヒノキチオールが、肌荒れやニキビなどの肌トラブルにアプローチし、肌を健やかに保ちます。
バリア機能が低下した敏感な肌や、乾燥によるかゆみが気になる肌をやさしくケアするために開発された、医薬部外品のシリーズで、洗浄から保湿、保護までのトータルケアが可能です。
| 商品名 | 特徴 |
| ヒノキ AP コスメディックフォーム | 豊かな泡で肌をやさしく洗い上げる洗浄フォーム。肌の汚れをしっかり落としつつ、必要なうるおいは守ります。 |
| ヒノキ AP ローション | みずみずしい使用感で、肌に水分を補給する薬用ローション。肌荒れを防ぎ、キメを整えます。 |
| ヒノキ AP クリーム | 肌にうるおいを与え、乾燥や外部刺激から保護する薬用クリーム。顔だけでなく、ひじやかかとなど全身に使用できます。 |
| ヒノキ AP サンヴェール | 紫外線吸収剤不使用のノンケミカル処方で、紫外線と乾燥から肌を守る薬用日やけ止め。肌荒れを防ぎながら、しっとりとした肌を保ちます。 |
2. ナールス ユニバ 保湿クリーム

「ナールス ユニバ」は、“攻め”と”守り”のエイジングケア※を一本で実現することを目指した高機能保湿クリームです。
ヒノキチオールは、肌を清潔に保ち、肌荒れを防ぐ守りの成分として配合されています。
京都大学と大阪市立大学の共同研究で見出されたエイジングケア成分「ナールスゲン」を推奨濃度で配合しているのが最大の特徴です。
それに加え、3種のヒト型セラミドやビタミンC誘導体、ビタミンA誘導体などが、ハリ・弾力、透明感のある肌へと導きます。
乾燥による小じわを目立たなくする効果も期待でき、多角的なエイジングケアを求める方におすすめです。
※年齢に応じたお手入れのこと
3. アロフローラ アクネケア ローション

ハウス オブ ローゼの「アロフローラ アクネケア ローション」は、繰り返しがちなしつこいニキビにアプローチするために開発された薬用化粧水です。
有効成分の一つとしてヒノキチオールが配合されており、その優れた抗菌作用でニキビの原因となるアクネ菌の増殖を防ぎます。
ニキビを防ぐ3つの有効成分(ヒノキチオール、グリチルリチン酸2K、イソプロピルメチルフェノール)を配合し、肌を健やかな状態に整えます。
さっぱりとした使用感で、角層のすみずみまで浸透し、肌の水分バランスを整えてくれます。
ニキビができやすい肌質の方でも安心して使用できるでしょう。
ヒノキチオールの安全性と使用上の注意点

ヒノキチオールは天然由来で多くの優れた効果を持つ一方、安全に使用するためには知っておくべき注意点もいくつか存在します。
食品添加物としての認可や化粧品への配合濃度の上限、特定の状況下での使用について、正しい知識を持つことが大切です。
食品添加物・医薬品として認可された安全性
ヒノキチオールは、長い歴史の中でその安全性が多角的に評価され、幅広い分野での使用が認められてきました。
日本では「ツヤプリシン」という名称で既存添加物名簿に収載されており、食品安全委員会による評価を経て、食品添加物(保存料)としての使用が認可されています。
医薬品や医薬部外品の有効成分としても長年使用されてきた実績があり、各認定機関による厳格な審査を経て安全性が確認されています。
人体への毒性が低いことも特徴で、微生物には作用しますが、人間の細胞には影響を与えにくいメカニズムがその理由の一つとされています。
このように、適切な使用量を守ることで、その恩恵を安全に受けることができる成分です。
化粧品配合濃度の上限(0.1%)
ヒノキチオールは、化粧品に配合する際の濃度に上限が定められています。
これは、安全性を確保しつつ、その効果を最大限に引き出すための重要なルールです。
肌に塗布したままにする化粧水やクリームといった「リーブオン(洗い流さない)製品」では、ヒノキチオールの配合濃度は0.1%以下に制限されています。
この濃度は、これまでの安全性試験の結果に基づき、皮膚への刺激やアレルギーのリスクを最小限に抑えながら、有益な効果を得るための適切なバランスが考慮されたものです。
一方で、シャンプーや洗顔料などすぐに洗い流す「リンスオフ製品」については、この配合上限は設けられていません。
妊娠中・授乳中の使用について
妊娠中や授乳中は、普段よりもお肌が敏感になったり、体調が変化しやすかったりするため、使用する成分には特に注意が必要です。
ヒノキチオールもその一つで、いくつかの留意点があります。
動物実験の段階で、高濃度のヒノキチオールを投与した場合に胎児への影響が報告されています。
しかし、化粧品に配合される0.1%以下というごく低い濃度では、皮膚から吸収される量は非常にわずかであり、胎児への影響を心配する必要はないというのが一般的な見解です。
とはいえ、妊娠中は予期せぬトラブルが起こる可能性もゼロではありません。
不安な場合は使用を控えるか、使用前にかかりつけの医師や専門医に相談し、安全を最優先することが推奨されます。
過敏症・アレルギーのリスク
ヒノキチオールは基本的に安全性の高い成分ですが、すべての人にアレルギー反応が起きないとは限りません。
体質や肌の状態によっては、肌に合わない可能性も考慮しておく必要があります。
ごくまれに、ヒノキチオールに対してアレルギー反応(接触皮膚炎)を起こし、赤み、かゆみ、肌荒れといった症状が現れることがあります。
肌が弱い方やアレルギー体質で心配な方は、使用前にパッチテストを行うことをお勧めします。
パッチテストは、絆創膏などに化粧品を少量つけ、二の腕の内側などの目立たない場所に貼り、48時間ほど様子を見ることで、アレルギー反応の有無を事前に確認する方法です。
ヒノキチオールについてよくある質問

ヒノキチオールについて、多くの方が抱く疑問にお答えします。
名前の由来による誤解や安全性に関する不安など、気になるポイントをここで解消していきましょう。
ヒノキチオールとヒバ油の違いはなんですか?
簡単に言えば、ヒバ油は「原料」であり、ヒノキチオールはそこから取り出される「特定の成分」です。
ヒバ油は青森ヒバの木部を水蒸気蒸留して得られる精油(エッセンシャルオイル)全体のことを指します。
ヒノキチオールはその中にわずか1~2%しか含まれていない希少な成分の一つです。
ヒバ油にはヒノキチオールの他にも、β-ドラブリンやツヨプセンといった100種類以上の成分が含まれており、それぞれが特有の香りや効果を持っています。
ヒノキチオールの純粋な効果を求める場合は、成分として「ヒノキチオール」と明記された製品を選ぶ必要があります。
ヒノキチオールとヒノキ花粉症アレルギーの関係は?
結論から言うと、ヒノキチオールとヒノキ花粉症の原因物質は、完全に別物です。
「ヒノキ」という名前から、ヒノキ花粉症の人が使うとアレルギー症状が悪化するのではないかと心配されることがありますが、その心配は全くありません。
ヒノキチオールはヒノキ花粉に含まれるアレルギー原因物質(アレルゲン)ではないため、ヒノキ花粉症の方が使用してもアレルギー反応を引き起こすことはありません。
むしろ、その優れた抗炎症作用などから、アレルギー性皮膚疾患のケアに用いられることも多い成分です。
名前によるイメージで、有益な成分を避けてしまうのは非常にもったいないと言えるでしょう。
ヒノキチオールに毒性や発がん性はないのですか?
天然成分であっても、その安全性は気になるところですが、ヒノキチオールは長年の研究と使用実績により、その安全性が確認されています。
現在、ヒノキチオールに発がん性は認められていません。
動物実験において高濃度の投与で胎児への影響が報告されたことはありますが、これは化粧品や日用品として通常使用される濃度とはかけ離れた条件下での話です。
化粧品では0.1%以下という厳しい配合上限が定められており、この範囲内での使用であれば人体への悪影響はないとされています。
適切な用法・用量を守ることで、安全にその効果を享受できる成分です。
ヒノキチオールはヒノキアレルギーに関係ありますか?
ヒノキチオールは、日本の「ヒノキ」の木そのものに対するアレルギーとは無関係です。
この誤解も、成分の名前に由来するものです。
日本のヒノキ材にはヒノキチオールがほとんど含まれていないため、いわゆるヒノキアレルギー(木材や建材としてのヒノキに触れることで起こるアレルギー)とは関連がありません。
商業的に生産されるヒノキチオールのほとんどは、青森ヒバという全く別の樹木から抽出されています。
名前のイメージだけで判断せず、成分の由来と特性を正しく理解することが大切です。
まとめ:ヒノキチオールの効果を知って私生活に役立てよう!

この記事では、1936年に発見された希少な天然成分「ヒノキチオール」の期待できる効果と、その活用法について詳しく解説しました。
スキンケアからヘルスケア、住環境の改善まで、私たちの暮らしを豊かにする多くの可能性を秘めています。
ヒノキチオールには、主に以下の7つの優れた効果・効能が期待できます。
①強力な抗菌・殺菌作用
②優れた抗炎症作用
③細胞賦活・コラーゲン産生作用
④メラニン生成抑制作用
⑤フケ・かゆみ抑制効果
⑥抗ウイルス作用防虫・防カビ効果
これらの働きにより、ニキビや肌荒れ、シミやしわ、フケやかゆみといった悩みから、ウイルスやカビから身を守るためのホームケアまで、非常に幅広い用途で活用されています。
製品を選ぶ際は、配合されている目的(抗菌、抗炎症、美白など)が自分の悩みに合っているかを確認しましょう。
また、安全性の高い成分ですが、肌が敏感な方は使用前にパッチテストを行うと、より安心して使い始めることができます。


