公益財団法人 花王芸術・科学財団は、2024年度の助成先として、「花王科学奨励賞」・「花王Crescent award」を決定しました。
・「花王科学奨励賞」:10件
・「花王Crescent award」:12件
2024年度 助成決定数は22件となり、助成総額は3,200万円となりました。
公益財団法人 花王芸術・科学財団
公益財団法人 花王芸術・科学財団は平成2年10月に花王株式会社(以下、花王)の100周年を記念して、設立。
当時の日本は、めざましい経済発展の物質的な豊かさを享受する一方で、芸術文化活動の充実を強く望んでいました。
このような時代背景のもと、花王は芸術文化活動支援の恒久化と一層の充実を図るため、財団を設立するに至りました。
芸術文化活動支援から学術研究支援へ
発足以来、美術・音楽を中心に芸術文化活動への助成を幅広く行い、さらに広く学術研究支援へも事業を拡大し、名称を「財団法人 花王芸術・科学財団」に変更。
今般の公益法人制度改革により、平成22年10月に公益認定を受け、名称を「公益財団法人 花王芸術・科学財団」に改め現在に至ります。
事業内容
・美術館等が開催する美術展覧会への助成
・美術館等が開催する美術展覧会への助成
・音楽を中心とした芸術公演への助成
・芸術文化及び科学技術に係わる研究への助成
・芸術文化及び科学技術に係わる研究への顕彰
・芸術文化や科学技術の枠組みにとらわれない文理融合分野への支援及びシンポジウムの開催
・その他この法人の目的を達成するために必要な事業
計7つの事業で活動しています。
それでは、2024年度の「花王科学奨励賞」・第3回「花王Crescent award」を見ていきましょう。
2024年度 花王科学奨励賞
テーマは『表面の科学』
若手研究者の未来を拓く独創的、先導的な研究に対し助成しています。
【公募期間】
2023 年 7 月 1 日から 10 月 31 日の期間
【応募総数】
55件(化学・物理学分野、医学・生物学分野)
【決定件数:助成合計金額】
10 件: 2,000 万円
助成件数 (応募件数) | 助成金計 |
化学・物理学 5件 (19件) | 1,000万円 |
医学・生物学 5件 (36件) | 1,000万円 |
化学・物理学分野
No. | 氏名 | 所属 | 役職 | 題目 |
1 | 関 貴一 セキ タカカズ | 弘前大学 大学院理工学研究科 | 助教 (Pl) | On-the-fly界面分子構造解析を目指した,多色顕 微界面分光手法の開発 |
2 | 植松 祐輝 ウエマツ ユウキ | 九州工業大学大学院 情報工学研究院 | 准教授 | エマルジョンとエアロゾルの電荷決定機構の研究 |
3 | 土肥 侑也 ドイ ユウヤ | 名古屋大学 大学院工学研究科 | 助教 | モデル二次元シート状高分子の創製と精密特性解析 |
4 | 石井 良樹 イシイ ヨシキ | 北里大学 未来工学部 | 講師 | 分子集合系マテリアルが形成する溶液界面の柔らかさと機能の計算科学的探索 |
5 | 正直 花奈子 ジョウジキ カナコ | 京都大学大学院 工学研究科 | 講師 | 半導体表面・界面の不純物濃度制御による結晶極性反転構造の作製とその光素子応用 |
※所属は助成当時のもの(敬称略)
医学・生物学分野
No. | 名前 | 所属 | 役職 | 題目 |
1 | 三宅 崇仁 ミヤケ タカヒト | 京都大学大学院 薬学研究科 | 助教 | 温度生物学に立脚した皮膚表面再生能力賦活化への挑戦 |
2 | 坪山 幸太郎 ツボヤマ コウタロウ | 東京大学 生産技術研究所 | 講師 (Pl) | 人工タンパク質による細胞膜透過性の解明 |
3 | 彭 戈 ペン グ | 順天堂大学大学院 医学研究科 | 日本学術振 興会外国人 特別研究員 | 血液脳関門機能とアトピー性皮膚炎との関連性:脳 内炎症のメカニズム解明 |
4 | 森田 直樹 モリタ ナオキ | 東京大学 定量生命科学研究所 | 助教 | 腸管貪食細胞により小腸管腔界面の制御が老齢期腸 内細菌叢と細胞老化を伴う肝疾患感受性 へ与える影 響の解明 |
5 | 山﨑 昌哉 ヤマザキ マサヤ | がん研究会 がん研究所 | 博士研究員 | 大腸がんtumor-initiating cellに発現するチロシンキナーゼ受容体を介した再燃機構の解明 |
※所属は助成当時のもの(敬称略)
受賞者にはそれぞれ記念盾と 200万円が渡されました。
1998~2024年度 「花王科学奨励賞」 累計助成人数は259名、助成総額は3億4,900万円になります。
第 3 回 「花王 Crescent award」の決定
女性研究者を対象
『表面の科学』の化学・物理学分野において、今後も長く研究の継続を希望される任期付き雇用の優秀な女性研究者を対象とした使途自由度の高い助成プログラム。
女性研究者およびそのパートナーのワークライフバランスに配慮し、研究継続できるロールモデルを増やすと共に、日本の科学技術研究の振興・発展向上への寄与、男女共同参画社会の形成を促進することを目的とした2030年までの有期事業です。
【公募期間】
2023年10月1日から2024年1月18日の期間
【対象】
財団が指定する大学・研究機関等より推薦後、財団の理事会により決定
【決定件数:助成合計金額】
12名:1,200万円
第3回 花王Crescent award 女性研究者
No. | 名前 | 所属 | 題目 |
1 | 日比野 光恵 ヒビノミツエ | 北海道大学大学院工学研究院 マイクロシステム化学研究室 | マイクロ流体技術を用いたミトコンドリア標的型ナノ医薬設計の創製 |
2 | 三原 のぞみ ミハラ ノゾミ | 筑波大学 数理物質系化学域 | カゴ型有機分子を利用した金属ナノ粒子のサイズ・形状制御合成による高活性触媒の構築 |
3 | 李 民喜 イ ミニ | 東京大学大学院 工学系研究科 | 界面相互作用を制御した固体触媒表面における反応メカニズムの研究 |
4 | LIU JIANGYANG リウ ジャンヤン | 東京大学大学院 工学系研究科 応用化学専攻柳田研究室 | 金属酸化物の表面粒界を設計して高感度な酸化ナノ薄膜ガスセンサーデバイスを構築 |
5 | 太田 悠木 オオタ ユキ | 慶應義塾大学 | ペタレベルイメージングによるがん細胞界面ダイナミズムの時空間分解 |
6 | 菅井 祥加 スガイ ヒロカ | 東京工業大学 国際先駆研究機構 リビングシステムズ材料学研究拠点 | バイオ高分子の階層的自己組織化に基づく細胞様構造体の創 成 |
7 | 柴田 紗帆 シバタ サホ | 千葉大学 真菌医学研究センター | 葉面菌の多様性とその機能解明に関する研究-植物保護に向けて- |
8 | 岩竹 真弓 イワタケ マユミ | 名古屋大学 未来社会創造機構 ナノライフシステム研究所 量子科学技術・量子生命科学研究 部門 | バイオマテリアル‐細胞膜表面の分子プロセス解析に基づく肺疾患治療細胞の開発 |
9 | 李 玲穎 リ リンイン | 物質・材料研究機構 若手国際研究センター | 「ヘテロ分極界面分子技術」によるナノ材料の自己組織化と伸縮性センサデバイスへの応用 |
10 | 岩清水 千咲 イワシミズ チサキ | 大阪大学 産業科学研究所 | 電子エネルギー損失分光法による高空間分解能での2次元物 質と有機分子の電子状態局所変化の可視化 |
11 | 伊藤 祥子 イトウ ショウコ | 理化学研究所 生命機能科学研究センター 動的恒常性研究チーム | 外界と体内の境界における腸上皮細胞恒常性維持機構の解明 |
12 | 王 青 ワン チン | 九州大学総合理工学研究院 物質科学部門 | 巨大ひずみ加工によるペロブスカイトの界面構造を解析 |
※所属は助成当時のもの(敬称略)
受賞者にはそれぞれ100万円が渡されました。
2022~2024年度 「花王 Crescent award」 累計助成人数は40名、助成総額は4,000万円になります。
日本の芸術文化と科学技術の振興及び発展向上のために
花王設立100周年を記念して、設立された花王芸術・科学財団。
花王芸術・科学財団はこれからも美術、音楽を中心に芸術文化活動を助成し、科学技術分野の支援を通じて若い研究者の育成に努め、ひいては日本の芸術文化と科学技術の振興及び発展向上を支援していくとしています。