マンダム、アルコールを最大70%まで配合可能なクリーム製剤の開発に成功



保湿力と殺菌力を両立した、濃密な使用感のクリームを実現

株式会社マンダム(本社:大阪市、西村健社長執行役員)は、清潔意識の高まりに対し、衛生に関する技術開発を進めている。近年、消毒剤の需要は拡大しているが、殺菌力の高いアルコール(※1)系消毒剤は肌の水分を奪い、乾燥を促進させるものが多いことがわかっている。そこで同社は、従来では実現が困難であった、肌の保湿力と殺菌力を両立した乳化(クリーム)製剤の開発に挑戦し、殺菌力を十分発揮するアルコール濃度最大70%まで配合を可能とするクリームの製剤化に成功した。今後はこの技術を基盤に、アルコール濃度や使用感を調整し、生活者ウォンツに合わせた製品開発に応用していく。

研究の背景

従来のアルコール高配合の保湿系製剤は、ジェル剤型が一般的。ジェル剤型はアルコール由来のさっぱりとした感触を感じられるが、保湿感につながるコク感や濃密感を感じられなかった。そこで同社は、クリーム剤型にすることで、塗布時に保湿感や濃密な使用感も実感できるアルコール高配合の保湿製剤を目指した

通常クリーム製剤には水性成分と油性成分を均一に乳化する(混合する)ために界面活性剤を配合する。界面活性剤はアルコールに溶解しやすいものが多いため、アルコールの配合量が増えると、乳化が困難になる傾向がある。また、クリーム製剤としての適切な硬さ、使用感などの調整に必要とされる増粘剤は、アルコールを増粘しにくいものが多く、求める硬さ、使用感を得ることが困難だった。更にクリーム製剤は、製造時に加温工程を加えることが一般的だが、アルコールを高配合する場合は加温によるアルコールの揮発も課題の一つだった。これらの課題に対し、百種類以上の界面活性剤からアルコール高配合乳化を実現する最適な組み合わせの検討と、増粘効果を十分に発揮する増粘剤の選定、さらには製造条件の工夫に取り組んだ。

2種の界面活性剤と増粘剤の組み合わせにより、アルコールを高配合した乳化を可能に

図1 A)2種の界面活性剤による乳化粒子のイメージ B)同濃度でのアルコール溶液の増粘力の違い

一般的に乳化とは、通常は混ざり合わない油分と水分を均一に混ぜ合わせる方法だが、同開発品では油の中に水とアルコールを小さく粒子化(乳化粒子)して混ぜ合わせるように乳化している。通常、乳化粒子は互いに合一(融合)することで中味成分が分離し、クリームの状態を保てなくなってしまう。今回、同社は百種類以上の界面活性剤について検討を重ね、分子の大きさが異なる2種の界面活性剤(※2)の組み合わせが、乳化粒子の合一を防ぎ、安定な乳化状態を形成することを見出した(図1-A)。

図2 A)不安定な乳化状態 B)安定な乳化状態

また、特定のイオン性高分子増粘剤の中からアルコール高配合乳化時においても高い増粘効果を発揮する増粘剤(※3)を見つけ出した(図1-B)。これらの界面活性剤と増粘剤を組み合わせることにより、アルコールを70%まで配合することが可能な安定した乳化を実現した。この微細な乳化粒子は、乳化状態が悪い場合であれば時間経過、高温環境下で分離するが(図2-A)、今回のクリームは40°C条件下で2か月経過時においても分離せず、経時的に安定していることが確認できた(図2-B)。また、先述の2種の界面活性剤は、加温をしなくても容易に混合できる液状界面活性剤であるため、乳化時の加温工程を省略することが可能となり、製造時の加温過程でアルコールが揮発するという課題を解決することがきた。

アルコール配合クリームの機能性評価結果

以下に記載の2つの試験については、手肌への使用性を想定し、アルコール濃度50%の製剤で殺菌力、保湿力の評価試験を実施した。

◆殺菌力の評価

図3 本製剤の塗布前後でのスタンプ試験の結果

本製剤と各種細菌(大腸菌と黄色ブドウ球菌)を混合し、所定時間ごとに菌数を測定した(Time-kill試験)。試験開始から1分で99.99%の菌数減少率を示しており、殺菌効果が確認できた。また実使用を想定し、手形の寒天培地を用いたスタンプ試験で、手指の菌に対する効果性(菌の減少)についても評価した(図3)。

◆保湿力と肌のキメの評価

図4 本製剤の塗布後の肌水分量

別々の手肌に本製剤とアルコール濃度50%溶液をそれぞれ塗布し、塗布前と塗布後60分までの角層水分量を比較測定した。同製剤では、塗布直後に大きく水分量が上昇し、60分後も高い水分量を示した(図4)。

図5 A)本製剤塗布後の手肌の状態B)2週間後の手肌のキメ変化

加えて、本製剤の連用による効果を確認した。冬場の乾燥しやすい環境で、一方の手には本製剤を2週間塗布し、もう一方の手には何も塗布しない状態を2週間続けた際のキメの状態を評価。何も塗布していない手は、あかぎれや赤みが確認されたが、本製剤を塗布した手は健常な状態を保っていた(図5-A)。また、連用によるキメの状態を確認したところ、本製剤を連用した手は、塗布していない手と比較してキメの交点数が多く、キメの状態が良いことを確認した。(図5-B)

同社は、このように従来では困難とされてきたアルコール高配合の乳化技術の開発に成功し、実現が難しかった高い保湿力と高い殺菌力を両立させることができた。今後も生活者の衛生習慣を快適にする新技術の開発に取り組んでいくとしている。

※1:文中のアルコールは、エタノール(別名:エチルアルコール)の事を指す

※2:オクチルドデシルキシロシド、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30

※3:(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー

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