【花王×コーセー】急務のサステナビリティ活動において期待される業界横断型の取り組み



花王とコーセーの協働は、大きなマイルストーンとなるか

花王 長谷部佳宏 代表取締役 社長(写真左)とコーセー 小林一俊 代表取締役社長(写真右)

https://www.kao.com/jp/corporate/news/sustainability/2021/20211014-001/

花王とコーセーは、持続可能な社会の実現を目指し、化粧品事業のサステナビリティ領域において包括的に協働していくことに合意した。この領域で両社は、すでに化粧品容器の素材として欠かせないプラスチックと、すべての製造業において生産過程で排出せざるを得ないCO²の削減に対応している。

また、日用品の使用済みつめかえパック回収・再生を目的とした「神戸プラスチックネクスト」にも参画し、実質的に協働をスタートさせている。今後、環境分野からジェンダーフリーなど人と社会に関わる分野までの広範にわたり、両社間の協働によりどのような取り組みが展開されるのか注目される。

リリース添付の写真2点に両社長と化粧品事業のトップ

表層的な関係性にとどまらず“本気度”を示す奥深さ秘めて

両社から同時に配信されたリリースに添付された2点の写真は、両社長のみのものと、それぞれの化粧品事業のトップが加わったものであった。今回の協働は、「化粧品事業のサステナビリティ領域」に限定されたものだが、2点の写真を見ると、表層的な関係性にとどまらない“本気度”を秘めたものと受けとめられても不思議はない。

花王は、化粧品はもとより洗剤やシャンプーといった身体用や家庭用などの幅広い製品を揃え、化粧品日用品市場では国内で圧倒的な売上高を誇る。サステナビリティ領域での取り組みにおいても、生活者を巻き込んだ浸透性の高いプログラムなどの展開で業界のトップランナーにふさわしい活動を多岐にわたり展開している。

コーセーは、創業以来、着々と業績を伸ばし続け、化粧品市場では、売上高において資生堂、花王と並ぶビッグ3の一角を占めるまでになっている。サステナビリティという言葉さえ聞かれることのなかった10年以上前から商品の売上の一部を活用した環境保護活動をはじめ、今やこの領域でもトップクラスの取り組みを展開している。


 花王が評価するコーセーのモノづくりの感性や環境活動:サステナビリティ活動も花王は日用品のトップランナー

さて、両社の協働に関して、コーセーの小林一俊社長が、10月29日に開催された2021年12月期第2四半期の決算発表(別稿参照)後の質疑応答で、その一端を紹介した。

まず、花王のサステナビリティに関する取り組みについては、「日用品メーカーのなかでトップランナーであると認識していて、ぜひ、一緒に取り組んでいきたいと考えていた」ことを明らかにした。

そうしたなか、花王の長谷部佳宏社長と会って話す機会があり、その折に、花王が、コーセーの化粧品事業におけるモノづくりで感性の部分に興味を持っていることがわかった。また、サステナビリティに関しても、「SAVE the BLUE」をはじめとするコーセーの取り組みが高く評価された。

このようないきさつを経て、「サステナビリティへの対応では、本来、業界を挙げて取り組むことがベストと思われるが、企業数が増えると迅速に前に進むことができなくなる可能性も考えられる。そこで、市場では、花王グループのカネボウ化粧品と直接競合しているものの、コーセーが手掛けている、不要になったメイク商品のアップサイクルなども高く評価されていることから、サステナビリティ領域での協働はシナジーが大きいと考えた」(小林社長)という。

 具体的な取り組みについては検討中とのことだが、花王が実施している、「ペット素材の水平リサイクルなどは協働できるのでは」と見ている。また、「両社では、サプライヤーが重なっているケースもあって、リユース、リサイクルなどでさらなるコスト削減なども期待できることから合意に達した」(同)と述べている。

 

このテーマによるさまざまな連携の輪の拡大を予想、大手両社が率先してステージに立ち後に続きやすい土壌が

業界を代表する大手両社による協働というインパクトのある連携は、今後、化粧品市場におけるサステナビリティ領域に関連した他企業の取り組みにも影響を与え、このテーマに沿ったさまざまな連携の輪が拡大することも予想される。

地球規模の約束事である、サステナビリティ領域への対応に関しては、“協働”という旗の下に無秩序に馳せ参じたとしたらひんしゅくを買うだけだが、真摯に取り組む決意を持ち、志を同じくすることを条件に、手続きの迅速化などの要件をクリアできるなら、一社でも多くの企業が手を挙げることが理想的だ。大手両社が率先してステージに上がった今、後に続きやすい土壌ができてきたことは間違いなさそうだ。

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