外国人美容師の就労、新局面:トップバッターとなるBA東京の責任と危惧

長年の懸案だった「外国人美容師就労問題」。東京都とBA東京の協働により特区として試験的運用が2022年4月から始まる。東京以外にもこの制度の実施を望む府県はあり、東京都の運用いかんが今後の展開を左右することになる。トップバッターとしての東京都=BA東京の役割は重いものがある。

一方で、オミクロン株の発生により、コロナ禍は新たな局面を迎えた。外国人美容師・留学生を迎え入れる態勢にも大きな影響が出る可能性がある。

外国人美容師の就労、新局面:トップバッターとなるBA東京の責任と危惧

BA東京の喜びと期待

「当組合が取組んできた外国人美容師就労問題がようやく決着し、東京都特区という形で令和4年4月から実現することとなりました」。

2021年11月10日付の『BA東京タイムス』の1面トップの記事の書き出しだ。東京都の美容組合BA東京(東京都美容衛生同業組合。金内光信理事長)の機関紙。長年の懸案事項に光が差した喜びがうかがえる。

これに関連しては、弊社誌面『CATs』2021年11月11日号で、美容組合の全国組織・全美連(全日本美容業生活衛生同業組合)理事会が、特区・監理実施機への役員派遣を決めたことを報じた。

『BA東京タイムス』は「外国人美容師育成事業 制度概要」を大きく図示して、組合員の理解を求めている。就労する「外国人美容師」、その職場となる「育成機関」(美容サロン)、それを監督する「監理実施機関」、その上にある「関係自治体」の関係を示したものだ。

同紙はこの外国人美容師就労特区という事業の実施後に期待される効果として、次のような項目を挙げている。

  • 国内における美容市場の活性化
  • 日本の美容技術の国際的地位の向上
  • 日本の美容製品の輸出による産業競争力の強化やブランド向上を含むクールジャパンの推進

外国人美容師受け入れ。地域で温度差。

しかし、BA東京が外国人美容師特区制度をめざした本音は、少子高齢化や人口減少による将来的な美容師志望者減少にあることも、忘れてはならない。それは、全美連の議論の中で外国人美容師就労問題が取り上げられたとき、「美容師数は足りているか」が話題になったことでも知られる。

そこでは東京都など大都市圏と地方都市での、温度差が強く見られた。一方では「日本人美容師の職場が外国人美容師に奪われるのではないか」という危惧も見られる。

全美連の姿勢が外国人美容師就労問題について前向きに転じたことは、本紙の同記事上で報じたとおりだ。がそこには、地方を中心とする一部組合員への配慮も見られる。全美連の吉井理事長は理事会の審議の中で、当面就労する外国人留学生の数が数十名程度にとどまることを強調していた。

東京都の美容師特区。トップランナーの責任。

いずれにせよ、全国の美容室の注視の中で、東京都の外国人美容師特区が2022年(令和4)からスタートすることになる。東京都の試みの成否は次の点で注目される。

  • この制度が、国内美容市場活性化など、上に挙げた目的をどの程度実現できるか。
  • 制度をどの程度スムーズに運用できるか。
  • その結果、日本の美容文化の先行きに大きな道を拓くことになるかどうか。

折から、新型コロナウイルスの問題は、「オミクロン株」という新しい課題を抱えることになった。2022年から就労する外国人美容師、そして外国人留学生が、無事日本に入国することが出来るのかなども含めて、事態は予断を許さない。

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