【中野製薬】新イベント「BEAUTY IS ART」共創アート:第1回



6月15日(火)、中野製薬株式会社(代表取締役社長:中野孝哉 、 以下、中野製薬)の新イベント「BEAUTY IS ART」が始まった。(イベントの概要はこちら)最初に開催された「共創アート」では、新進気鋭の6サロンから、若手美容師がワークショップ形式で参加。講師として、「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」のファッションデザイナー、山縣良和氏を迎えた。

第1回「Roots & Concept」:自分自身のルーツをたどり、自己分析を実施

第1回のテーマは、「Roots & Concept」。美容も定義としての「ファッション」の一部であることを認識し、自身のルーツを見つめ直した上で、自身およびチーム(サロン)のクリエイションに結び付けていく。いわゆる「ファッション」分野と美容分野は、同じく人に施し、「美」を司る近接分野と言って良い。しかし、(業界内にいるとよく分かることだが)ファッション業界の人間と、美容業界の人間が関わる機会は存外少ない。

現在は、「アパレル」「メイク」「美容」といった、個々の分野を切り取るよりも、トータルでの美の価値を提供することが求められる時代「共創アート」は、「ファッション」と「美容」分野の価値を共有し、刺激し合うことで、クリエイターとしての価値提供力の向上を狙う。決して大人数とは言えない参加者ではあるものの、中野製薬は“異業種”からの価値観を融合する機会を美容師に提供し、セミナー形式で啓蒙させる斬新な試みを行っている。

「美容はファッションか?」:ファッションと美容の関係性

ワークショップは最初に、山縣氏が「ファッションとは」について語る。「ファッション」とは、英語では“fashion”、仏語では“mode”、中国語では“时尚(shíshàng)”。また、英和辞典を引くと、「服装」や「流行」という日本語が出てくる。対して、「服」は、英語で“clothes”、仏語は“vêtements”と、それぞれ異なる語句となっている。

語句の違いが表す事実として、「ファッション」は(本人含めた)全体の“なりかたち”を表す言葉で、頭の先からつま先までのトータルコーディネートを指す。つまり、ヘアーやメイク、ひいては本人のふるまいまで込みでの「ファッション」となる。一方、服は「モノ」単体を指し、ファッションの核は「服」ではなく服「装」。つまり、「装い(style)」こそがファッションの本質であると語った。

ファッションとは服そのものではなく、「装う」こと。つまりレイヤー(layer)である。そして、社会には様々な「装い」が存在する。個々人の服の「装い」、育ったor生活している街の「装い」、国家や地球全体の「装い」、時(代)の「装い」、あらゆる概念における「装い」が、ファッションと定義づけられる。つまり、皮膚の「装い」、髪の「装い」である、美容もファッションとなる。

Fashion is not static state,

Fashion is dynamic phenomenon.

Why “FASHION” happens? (ファッション現象はなぜ起こる??)

山縣氏は、今この瞬間の「ファッション」とは、「マスク」と語り、マスクもファッション史の一部になると述べた。コロナ禍での「マスク生活」はメイク&ヘアに(大きく)影響を与える「装い」であることに対し、ワークショップに参加した美容師も強く頷いていた。意見を求められた参加者からも、現場としてのヘアスタイルへの具体的な影響(例:マスクの湿気で前髪に対する要望の変化など)が、次々と挙げられた。

人間の本質として、誰もが「人と違う人になりたい」と、「人と同じようにありたい」というパラドックスを抱えている。だからこそ、山縣氏は「皆と同じ」を追いかける心理と、その中から「皆とは違う」装いが生まれたとき、ファッションそのものが動き、新たな“流行”が生まれると語った。パラドックスとバランスの上にファッションが成立し、曖昧性の中で生きているという意見に、美容師たちは真剣な眼差しで聞き入っていた。

人は、本質的に自分自身を確認する術がない。「声」や「印象」といった要素を切り取ったとしても、自身が思う自分と、他人からの印象は異なる場合が多い。人は自分自身が「分からない」からこそ不安になり、服「装」およびファッション全域は、「自分に対する分からない」を解決するための自己表現のツールであると述べた。

“I”「私」とは何か?:自己のルーツを確認

「ファッションとは」を確認した後、ワークショップは自己のルーツを確認し、自己認識するパートへ入った。参加者へ実際の自己分析を行って、自身の思う特徴を書き出した。

例えば、「思いやりがある」という特徴は、常に「人と比べて」という“但し書き”が付帯する。アイデンティティは周囲の環境に左右される。自身の環境から見つめ直し、立ち位置や、あるもの/ないものを確認することが、自身のクリエイションとしての結果を確固にするルーツになる、とのこと。

ファッションの本質である「装い」とは、“知らないことに満ちた「私」”の、主観的な表現でもある。ワークショップでは、古代~近代西洋哲学思想にも触れ、あいまいな自己の定義が、人類史的な課題であり続けていることにも言及された。いずれにせよ、自身“I(アイ)”という存在は、周りの環境「装い」に影響を受けて構成されるからこそ、自身のルーツと環境、そして美容師を志した経緯までを「自己分析」することが、ひいては自己表現にも繋がる。

「自己分析」パート:無自覚的に影響を受けたことに自覚的になる

“Pace Layer Thinking(2015)”

講義では、Stewart Brand と Paul Saffoが2015年に提唱した“Pace Layer Thinking”に言及。写真は、私たちの社会は複数のレイヤーから構成され、ファッション(Fashion)、商業(Commerce)、インフラ(Infrastructure)、統治(Governance)、文化(Culture)、自然(Nature)各レイヤーの構成と、それぞれの規模感が異なり、また、下位から上位に向かって影響を及ぼすことを示している。

つまり、自身が生まれた土地、原風景(幼いころに記憶している風景)、家庭、コミュニティ、国籍、周囲、人間関係、世代、嗜好といった単位で、自分の特徴やルーツを再認識をすることで、最終的に「ファッション」レイヤーの「作品」を、より鮮明へ映し出していくという試みだ。

■ MIND MAPの作成(ワークショップ)

「自分にとって重要な意味を持つ、他人にとっては無意味なものとは?」「なぜ好きか?なぜ好きになったのか?」「だれから、どのような影響を受けているのか?」「なぜ、美容師を志したのか?」

参加者は、自分自身を構成する、最も影響を与えた環境や人物を書き出す“マインドマップ”を作成した。そして最終的に「美容」にたどり着いた経緯を中心に書かせ、山縣氏から「個人のルーツ」を明確にさせる“宿題”が出された。同時に、個人のルーツを模索し、チーム(各参加サロン)で合体し、チームごとにヘアメイク、意匠、スタイリング、モデルすべてをディレクションし、最終的に「ファッション」を提案する。

最終的な「ファッション」作品は、9月17日の授業内プレゼンテーションにて発表される。

↓第二回の様子はこちら

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