【2023/7/6】第16回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント授賞式典を開催

第16回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント授賞式典

2023年7月6日、資生堂グローバルイノベーションセンターにて「資生堂 女性研究者サイエンスグラント授賞式典」を開催。

式典では、第16回グラント受賞者10名を選出し「サスティナブルな社会の実現を目指した女性研究者同士のネットワーク構築」をテーマにした授賞式が行われました。

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資生堂 女性研究者サイエンスグラント

資生堂 女性研究者サイエンスグラント

この取り組みは「次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援することは科学技術の発展につながる」という考えのもと、自然科学分野の幅広い研究テーマ(理工科学系・生命科学系全般)を対象に、2007 年の設立以来、毎年最大10名の女性研究者へ研究助成を実施するもの。

受賞者に贈られる各100 万円の助成金の他、出産・育児等のライフイベントと研究活動を両立するための環境整備学会参加の際の託児費用や研究補助員の雇用等)に活用したり、グラントを通じた受賞者同士の交流や受賞者の研究活動に活かしたキャリア形成のサポートにもなっています。

授賞式プログラム

第16回 資生堂 女性研究者サイエンスグラントの開催テーマは「サスティナブルな社会の実現を目指した女性研究者同士のネットワーク構築」。

授賞式典には過去の受賞者や社外審査員が招かれ、株式会社資生堂 取締役 鈴木ゆかり氏による開会挨拶から始まりました。

記念盾贈呈、受賞者代表による挨拶が行われ、審査講評とアンケート調査に基づいた調査報告、第6回グラント受賞者 天野麻穂氏による基調講演も行われました。
※調査期間:2022/11/16~30、資生堂 女性研究者サイエンスグラント受賞者のうち回答者数:74 名(送付者数:119 名)

女性アカデミアの現状

資生堂が過去の受賞者を対象に女性研究者の現状についてのアンケート調査の結果では「女性ゆえに困っていることがある」と8 割以上の研究者が回答。

理由として「家庭と仕事の両立が困難である」、「女性研究者が少なく立場が理解されにくい」、「周囲に相談・情報交換できる人がいない」などが多く挙げられ、家庭と仕事の両立の困難、孤立しやすい、キャリア形成に不安といった悩みを抱えている女性研究者の実態が浮彫りになりました。
※調査期間:2022/11/16~30、資生堂 女性研究者サイエンスグラント受賞者のうち回答者数:74 名(送付者数:119 名)

グラント授賞の意義

グラントを受賞して良かったことにおいては、助成金が得られたことの他に「優秀な他の受賞者との交流が図れた」、「次の発想につながった」、「受賞そのものが心の支えになった」などが挙げられました。

助成金という有形の支援に加え、ネットワーク形成をはじめとする無形の支援もまた、厳しい環境下にある女性研究者には有意義であると考えられます。

第16回グラント受賞者

第16回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント授賞式典

授賞者の審査は、主催である株式会社資生堂の審査員の他、社外の審査員による厳正な審査が行われました。

申請研究において、研究の背景・目的・社会的意義、妥当性やユニーク性が問われ、研究者の実績や積極性、社会的インパクトや活用ビジョンも審査対象となり、将来指導的立場を目指す女性研究者として支援するにふさわしいと判断した方を受賞者として決定。

第16回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント授賞式典
受賞者代表挨拶 萩原明氏

受賞者を代表して東京理科大学創域理工学部生命生物化学科 准教授の萩原明氏による挨拶が行われました。

厳しい環境下にある女性研究者にとって、精神面でも環境面でも、とても有意義なサポートとなっていると語り、未来を担う女性たちが「臆せず上の立場を目指せるよう、教育やサポート体制の充実といった面でも貢献していきたい」と楽しく研究できる環境づくりにも努めていきたいと想いを語られました。

【第16回受賞者・研究分野】(敬称略)

  • 郭 暁麗・・・基礎医学/神経科学/眼科
  • シーボーン ケイティー・・・人間工学/ヒューマンコンピュータインタラクション
  • 永澤 明佳・・・法中毒学/法医学
  • 萩原 明・・・脳神経科学/神経回路の伝達様式と脳機能
  • 橋本 恵・・・神経科学/分子生物学
  • 松本 咲・・・核酸科学/生体機能関連科学
  • 三木 春香・・・臨床免疫学/アレルギー学
  • 矢田 詩歩・・・コロイド/界面科学
  • 吉田 さちね・・・神経科学/発達心理学
  • 渡辺 寛子・・・素粒子物理学/ニュートリノ実験

今後の展望

次世代の指導的役割を担う女性研究者の育成を趣旨とする「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」では、設立からこれまでの受賞者は延べ 149 名にまでのぼり、過去の受賞者からは、教授や研究室を主宰する研究リーダーなどが多く輩出されています。

研究者が発想を膨らませ、研究成果を生み、社会に還元する上で、研究者同士のネットワーク構築が不可欠

資生堂は、受賞者を中心とした女性研究者同士のネットワーク構築をサポートし、専門分野や領域を超えた多様な人と知の交流機会をこれからも提供し続けるとしています。

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