「もったいないを、ほっとけない」の精神で、使い終わった容器包装や製品の役割を変えて最後まで余すことなく使い、ごみゼロ社会の実現への貢献をめざしている花王株式会社(以下、花王)。
2040年までに「ごみゼロ」・2050年までに「ごみネガティブ」※1を目標としています。
さまざまな活動を行っている花王事業の中で、今回は2023年の進捗をご紹介。
普段身近にある商品もごみゼロ社会実現に向けて作られていますよ。ぜひチェックしてみてください!
※1 「ごみゼロ」は、花王のプラスチック包装容器使用量と、花王がプラスチック再資源化に関与した量が等しい状態、「ごみネガティブ」は、花王のプラスチック包装容器使用量よりも、花王がプラスチック再資源化に関与した量が多い状態と定義
豊かな共生世界の実現を目指して
花王は2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を策定しています。
- 花王 ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)
- 生活者を主役にしたESG※の具体的な活動の方向性と将来への意欲的な意気込みを表したもの。
「花王のESG ビジョン」と、それを実現するための戦略「花王のESG コミットメントとアクション」で構成されています。
※ Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス(企業統治)を考慮した投資活動や経営・事業活動
ESG戦略の中で19の重点取り組みテーマが設定されており、この取り組みは「ごみゼロ」に貢献する活動として位置づけされています。
それでは2023年、具体的にどのような活動が行われたのかをみていきましょう。
目標達成に向けた「リデュースイノベーション」「リサイクルイノベーション」の推進
花王は「ごみゼロ」目標達成に向け、「リデュースイノベーション」・「リサイクルイノベーション」を行っています。
リデュースイノベーション
プラスチック使用量を削減した包装容器の開発や、再生プラスチックおよび植物由来プラスチックの使用を促進することで、化石由来プラスチック使用量を2030年までにピークアウト※2、2050年までにゼロにしていきます。
※2 前年より使用量を減らす
アタック ZERO パーフェクトスティックの発売
2023年には、洗たく機にそのまま入れるだけで使えるスティック形状の衣料用洗剤「アタック ZERO パーフェクトスティック」を8月に発売。
固いプラスチックの本体容器を使用せず、パウチ包装の仕様にすることで、プラスチック使用量(洗たく1回当たり)の削減※2に成功しました。
食器用洗剤「キュキュット」の改良
また、9月には食器用洗剤「キュキュット」で、ボトルの肉厚を薄くすることでプラスチック使用量を従来と比べて約40%※3削減した、ボトルタイプのつめかえ容器を発売しています。
※2 水量30Lの場合。当社非濃縮液体洗剤本体容器と「アタック ZERO パーフェクトスティック」パウチ包装の比較で約64%削減
※3 容器の従来品重量比
指標 | 中長期目標 目標値 | 中長期目標 目標年 | 2023年実績(前年) |
革新的なフィルム容器の年間普及量 (花王+社外) | 3億個 | 2030年 | 14百万個(13百万個) |
包装容器への化石由来のプラスチック 使用量 | ピークアウトさせる | 2030年 | 74千トン(88千トン) |
リサイクルイノベーション
社会に排出されたプラスチック廃棄物を、花王の製品・サービスとして展開することで再資源化。
花王が関与したプラスチックの再資源化率を、3つのアプローチによって、2030年までに50%まで高めていきます。
指標 | 中長期目標 目標値 | 中長期目標 目標年 | 2023年実績(前年) |
PET容器への再生プラスチックの使用率 (日本) | 100% | 2025年 | 81%(69%) |
使用済みプラスチックをポジティブリサイクルする
花王のケミカル事業が展開しているアスファルト改質剤「ニュートラック 5000」は、廃棄されるPET素材を独自技術によって改質剤に変換したもの。
添加したアスファルト舗装の耐久性を、最大で5倍高めることができます。
アスファルト舗装が高耐久化することで、路面の損傷が低減し、補修工事に伴うCO2の発生を抑制することが可能に。
2023年は、積雪寒冷地の道路課題の解決および耐久性向上を実現する新シリーズを発売しています。
包装容器で再生プラスチックを使用する
「リデュースイノベーション」において使用を促進する再生プラスチックは、社会に排出されたプラスチック廃棄物からつくられているため、リサイクルにも貢献しています。
2023年には包装容器の6%に再生プラスチックを導入。
日本のPET素材のボトルでは、2023年は食器用洗剤「キュキュット」のボトルタイプのつめかえ容器(特大サイズ)・衣類・布製品用消臭剤「リセッシュ除菌EX WIDE JET」などで再生プラスチックの導入が進んでいます。
花王が社会と共に回収した使用済み包装容器を社会が使用する
花王は自治体や企業等と社会におけるさまざまなステークホルダーと連携し、使用済みプラスチック包装容器の回収スキームの確立とリサイクル技術の開発に取り組んでいます。
2023年には、ライオン(株)と連携
2023年には、ライオンとの連携のもと、回収した使用済みつめかえパックを一部に使用した「リサイクルつめかえパック」を初めて製品化(数量限定発売)。
製品として継続的に提供できるよう、研究開発を継続しています。
プラスチック包装容器の回収における「製造・販売事業者等による自主回収認定」を取得
現在さまざまなパターンで展開しているリサイクルの実証実験に関して、2023年は新たに、自治体の資源物回収ルートを活用した新回収スキームの実証実験を鹿児島県薩摩川内市で実施。
2024年3月には、花王およびグループ会社の花王ロジスティックスが経済産業省、環境省より、花王の事業場および鎌倉市で実施しているプラスチック包装容器の回収における「製造・販売事業者等による自主回収認定」を取得しています。
これにより、廃棄物処理法の業許可なく、使用済みつめかえパックを花王グループ内と鎌倉市で回収することが可能に。
「自主回収認定」からできる取り組み
- 関係者に対して
- 分別・回収・運搬・再資源化等、各ステップで関与する関係者が主体的に参画し自律的に拡大していく、リサイクルのしくみの構築を検討
- 生活者に対して
- 資源循環を構成する一員として、商品の選定から使用、容器の分別、回収とリサイクルについて理解・共感を得る活動
指標 | 中長期目標 目標値 | 中長期目標 目標年 | 2023年実績(前年) |
回収パウチを使用した革新的フィルム容器の実用化 | 上市 | 2025年 | 上市(開発継続) |
社会全体のプラスチック使用量の削減(削減貢献量)
花王は、新たに提供する製品と従来の製品を比べて削減された量および、本品容器に比べてつめかえ容器で削減された量を「削減貢献量」として指標に設定しています。プラスチック使用量を削減した包装容器の技術を社会に提供することで、社会全体のプラスチック使用量の削減に貢献していくとしています。
指標 | 中長期目標 目標値 | 中長期目標 目標年 | 2023年実績(前年) |
花王および社会が包装容器で使用するプラスチック量の削減 | 200千トン | 2030年 | 128,6千トン (-) |
花王の拠点における廃棄物削減・リサイクルの取り組み
花王は、工場や事業場で発生する廃棄物の削減やリサイクルを進めています。
2023年は、工場や物流拠点で出荷されることなく、やむを得ず廃棄していた日用品・一部の化粧品の滞留在庫を自社ECサイト「My Kao Mall」でアウトレット販売を開始。
従来から社員販売などで、製品廃棄物削減に向けた取り組みを進めていましたが、一般消費者も購入できるようになりました。
パッケージが変わっただけで現在販売されているものと同内容のものが低価格で購入できたり、サイトも随時更新されているので、見ているだけでも楽しいページとなっています。
指標 | 中長期目標 目標値 | 中長期目標 目標年 | 2023年実績 (前年) |
花王の拠点(生産拠点から開始)から排出された廃棄物量に占める リサイクルされない廃棄物量の比率 | ゼロ(1%未満) | 2030年 | 4.4%(4.2%) |
製品廃棄物・販促物廃棄物の削減率(基準年:2020年) | 95% | 2030年 | 43%(20%) |
「もったいないを、ほっとけない」
花王グループは、2021年から、「未来のいのちを守る~Sustainability as the only path」をビジョンに掲げた中期経営計画を推進しています。
経営にESGの視点を導入し、事業の発展と、生活者や社会へのよりよい製品・サービスの提供をめざし、これからも「もったいないを、ほっとけない」精神で、パーパスである「豊かな共生世界の実現」に向けて取り組んでいくとしています。
日常生活で使用しているアイテムも「ごみゼロ」に向けて改良されています。ぜひそういった点も含めて見てみてくださいね。